いよいよシリーズ最後になりました。
最終テーマは、クラブの『前倒し』です。
裏返し、縦振り、なんて言い方もされます。
シャローイングした以上、前倒し動作は100%必要になります。絶対動作です。スーパー超絶大事な話ですから、読みながらしっかりスイングをイメージして理解して下さい。
シャローイングはクラブを寝かせてスイングプレーンを下げる・落とす、そして緩やかな入射角でインパクトゾーンを迎える、ということをvol.1でお話しました。
そして寝かせたクラブはフェースが開いているので、インパクトまでの何処かで必ず閉じる動作をしましょうね、とvol.2でお伝えしました。
更にもう一つ、クラブ全体に焦点を当てた動作として『クラブの前倒し』が必要動作だと記述しました。
シャローイングされた状態は言わば横振りの状態です。それを最終的にインパクトゾーンでは縦振りに戻そうぜ!てことなんですが、それこそが『前倒し』にあたります。
シャローイングに取り組み、初めてクラブを寝かせた人の殆どが『このまま振ったら右に行く気しかしない』と思うはずです。それはフェースが開いてる感覚から抱くイメージだけではなく、クラブを寝かせたことで横振りの感覚が生まれ、そのままの状態でのインパクトをイメージしてしまうからです。開いたフェースを必ず何処かで閉じなきゃいけないのと同様に、クラブ全体も横から縦に戻してあげなきゃいけません。そしてその動作も掌屈同様にフェース管理の一端を担う動きの一つでもあります。
インパクトゾーンが縦振りじゃないといけない(クラブが立ってないといけない)のは、トラディショナルスイングもモダンスイングも、今も昔も変わらないんです。ただ前前回も述べたように、最近はクラブの低重心化が進んだことでトラディショナルスイングのように切り返しから直で上から打ち込む終始縦振りスイングより、一旦緩やかな浅いプレーンに乗せてからインパクトゾーンの前倒しに入った方が効率良く飛ばせるということです。
『寝かせる動作も難しいのにそのあとまたクラブを立てるの?!もう訳わかんない!』て思いますよね。でも実はあまり難しく考える必要はなくて、寝かせたクラブを『グイッ』といった感じで単独で起こそうとか立てようなんてしなくていいんです。むしろそれは悪手。前倒しという動作はインパクトゾーンのハンドパスを正しく処理出来れば、ガッツリ寝かせたクラブも結果的に勝手に前倒しされる(縦振りに戻る)ものなんです。
画像で説明します。
(左)アドレス時のシャフトライン
(中)P5ポジションのシャフトライン
(右)インパクトゾーン前の(前倒し・縦振りに切り替えられた)シャフトライン
このように、切り返し後にクラブを寝かせたことでP5(写真中)ではアドレスのシャフトライン(写真左)と平行もしくは鈍角になり、その後インパクトゾーン手前のP5.5ポジション(写真右)では前倒しが始まってるので、クラブが寝ていたP5(写真中)と比較するとシャフトラインは鋭角に切り替わってるのが分かると思います。
結局どうやって前倒しするの?てことなんですが…ズバリ
『インサイドインで一気に身体の近くにハンドパスを取る』
ということです。
ここから非常に難しくなるんですが、
クラブを寝かせた状態のP5ポジションから一気にインサイド(身体の近く)にハンドパスを取ると、グリップ(手元)が下に引き込まれヘッドが起き上がり縦振りに切り替わります。
この時最も大事なことは、腕だけを振ってインサイドに通さないことです。それをするとこの世の終わりへと一直線です。
切り返しからP5ポジションを過ぎ、インパクトゾーン手前でもまだ手・腕を単独では振らず、ボディーターンと前傾を深める(胸の面を下に向ける)ことに注力します。この前傾を深める動作を使い腕とクラブを引っ張ることで、ナチュラルに身体の近くへ導かれ、寝ていたクラブが立って前倒し・縦振りに切り替わります。
もしこれを腕だけでやろうとすると、腕は単体で身体から外れ、同時に身体の回転が止まり、手元が身体の正面に来るのでそれが邪魔で前傾も深められず、むしろ伸び上がるしかなく、上体と手元は浮き、重たいヘッドは落下し、間違いなくダフるかトップします。上手く打てたとしてもアドレスと同じ体勢でのインパクト、もしくはもっと上体の伸び上がったインパクトになるでしょう。
腕は使わず回転と前傾角でハンドパスを作れるようになると、視覚的にも驚くほど地面が近く感じるでしょう。
スイングには手元とヘッドにラグが生じます。必ずヘッドは遅れてこないといけません。その結果ハンドファーストでのインパクトになります。上の写真のように、インパクト時の前傾角、ボールとの距離感、シャフトの角度、身体の向き・手首の角度等、それらはアドレス時のものとは全く別物になります。
★勘違いしないでほしいのは、じゃ腕は全く振らないのかというと、そんなことはありません。インパクトゾーンを低く長く取ろうとしてどこまでも脇を締めたままコックを解放しないで振ったら空振りします。当たったとしても100ヤードも飛ばないでしょう。
インパクトゾーンでは必ず腕は解けてコックは解放され、徐々に腕とクラブが真っ直ぐな状態へと近付きます。その過程でいかにハンドファーストで当てるか、です。そしてその解放されていく過程は『重力によるもの』だと理解しておく必要があります。どんなにキープしようと頑張っても、重力がある以上ヘッドは必ず先に落ちます。そこでの解放は極力重力に委ねたものであるべきですよ、という話です。
能動的に手首を使ってヘッドを返す動作はあくまでインパクト後です。インパクト後はヘッドを返した状態で低く長くフォローへ向かうべきです。(インテンショナルスライスのようにどこまでも返さないケースもある)
もちろん人によって感覚の違いやフェース管理の違いもあるので、腕は振ってなくても人によってはインパクト前から腕を振ったり手首も返してるよ、という人もいるでしょう。
どんな球を打ちたいかによっても腕の振り具合,フェースの返し具合、様々変わります。ただ、極力腕を使わないスイングを体現出来るようになってからじゃないと、自分に合った正しい腕の振り具合や振り抜く方向も見えてこないでしょう。
上の写真のように腕が伸び切ったインパクトは、完全に上体と腕が切り離された手打ちスイングです。
通称『トの字インパクト』はもう最悪。
終末兵器…。
長くなりました。お付き合い頂きありがとうございました。
今回はシャローイングとそれに付随した動きについてお話しましたが、ゴルフスイングにおいて最も大事なのは『フェース管理』と『下半身の使い方』だと考えてます。シャロースイングにおいても本来は下半身の動き無くして成り立つものではありません。今回は上体にだけスポットを当てて話しましたが、ほんの一部だとご理解下さい。
『18ホールは人生そのもの』
18ホールには山あり谷あり、一打一打に喜びと苦難があります。達成感も悔しさも全て自分次第、その時の自分を映し出してくれます。ゆっくり歩きながらその18ホールを歩く一日は、まるで人生を凝縮したような素晴らしく美しいものであるべきです。そのために、ゴルフを心から楽しめる心のゆとりと健康な身体、笑顔、仲間、そして自分と真正面から向き合える謙虚かつ真摯な気持ちを常に忘れず、私自身日々精進していこうと思います。
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